分室

稙田優子

撮影中にみかけた少年は、木の幹に枝を押し当てて折る動作を繰り返していた。私は写真を撮りながら、自分のやっていることが彼と同じに思えてならなかった。

Exhibition

2022.9.20 tue – 9.25 sun

SARP〈space B〉

– 会場配布資料

公園にある郷土博物館の施設に小さな離れがあり、二階は事務室、一階はフリースペースになっている。一階の壁は二面がガラス扉でできていて、朝から夕方までは扉が開け放たれている。ガラス扉はひとつの壁面に八枚あり、開放中は蛇腹式に収納される。

木々の線や影を撮影していたとき、この空間に立ち入った。八層に重なったガラスの中の景色をみて、写真を撮った。ガラス扉が閉まっている時、そこは暗い大きな箱のようになる。この場所を分室と呼ぶことにした。                     
私の撮影には入り口がたくさんある。例えば、ガラスに映る太陽と雲を撮影しながら、ピントを合わせる距離の遠さに驚いた感覚がこの撮影でも沸き起こった。

撮影に至る理由は種々にあり、その撮影から得られる写真が成立する理由もまた同じなのだと考えている。

写真展  「分室」  2022年9月21日

EVENTS

仙台写真月間 2022 アーティストトーク 
9.24sat 17:00-
坂本政十賜 × 稙田優子

同時期に個展を開催する二人が、お互いの展示作品をきっかけに写真についての対話を行います。この対話は後日、文章化を行い、仙台写真月間アーカイブサイトでの公開を予定しています。